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コラム

【収納の常識を覆す】設計士が教える、暮らしやすさのつくり方: ちょこちょこ収納が正解!

2024/06/17


書き手:安倍 めぐみ(クラス 設計士)
今回の記事は家づくりの永遠のテーマ、収納について、ヒントになる情報をお届けします📝


家づくりにおいて、間取りほど楽しく、悩ましい要素はありませんよね。クラスでは、お客様のライフスタイルに寄り添い、暮らしやすさを第一に考えた間取り設計を心掛けています。

間取りを考える時に大切なのは「こうあるべき」という固定観念にとらわれず、機能性と快適性を追求すること。今回の記事では、これまでたくさんの住宅を設計してきた視点で、暮らしやすい収納間取りについて、ポイントをご紹介します。

 

流行りの土間収納は本当に必要?「物置化」を避けるには

・玄関をスッキリした状態に保てる
・屋外から汚れを気にせず荷物を持ち込める

などの理由から、人気の高い土間収納。クラスの新築住宅でも、土間収納やファミリー玄関付きシュークロークを希望されるお客様が増えています。
しかし、土間収納は万能ではありません。使い方を誤ると、単なる「物置」と化してしまう可能性も…。

例えば、
「作ったものの、意外と土間収納にしまう荷物がなかった」
「ファミリー玄関は狭くて使い勝手が悪く、メイン玄関を使っている」
「土間収納は物置状態」
なんてことも。

では、後悔しない土間収納・ファミリー玄関を実現するには、どんなことに意識したらいいのでしょうか。ヒントを3つご紹介します。

 

後悔しない土間収納・ファミリー玄関を実現するためのヒント

1. 本当に必要な収納スペースを考え

・ベビーカーやゴルフバッグなど土間収納でないとしまえないものがあるか
・来客が多く、メイン玄関をいつもきれいに保ちたいなどの理由があるか

など、ご家族構成やライフスタイルに合わせて、本当に必要な収納スペースを考えることをオススメします。
例えば収納物によっては、スペースを分けなくてもオープンラックで解決する場合もあるかもしれません

敷地面積を有効に使うためにも、土間収納を設ける目的を一度整理すると良いと思います。

 

▼メイン玄関にオープンのシューズクロークを設置した施工事例

2. 将来の変化も視野に入れる

ベビーカーは子どもの成長とともにいつかは使わなくなるものですし、ゴルフバッグも「年に1回しか使わないよ」ということであれば、室内の納戸に置いておくのでもいいかもしれません。
「今後もそのスペースが必要かどうか」は、設計時に考えておく必要があるでしょう。

3.ウォークスルーできる土間収納で、使い勝手をアップ

土間収納を単体で設計するよりも、廊下と繋げ、ウォークスルーできる設計にすることで、使い勝手が格段に向上します。
スペースに余裕がないと難しい間取りではありますが、動線上に収納を確保することで、「物置化」を避けることができるでしょう。

いずれにしても、「作っても使わなかった」を防ぐためには、実際の生活をイメージして、間取りに組み込むことが大切です。

 

▼ウォークスルーできる土間収納を設けた玄関

パントリーで家事は本当に楽になる? 設置のメリット・デメリット

土間収納と同じく、流行りのパントリー。一見便利そうに思えますが、使いやすいパントリーは、暮らしによってさまざまです。

こちらも、

・何をどの程度、ストックしているか(したいか)
・どんなキッチン家電を収納する必要があるか

に応じて、間取りを考えることが大切です。

パントリーは「量」と「頻度」で検討を

1.ストックするものの「量」を考える

例えば、水やお米といった大きくてかさばるものを、一定量ストックしたいということであれば、パントリーは機能的です。
一方で、重たいものはあまりなく、量もそこまで、ということであれば、パントリーとして場所をとるのではなく、背面収納にしたほうが空間を有効に使えるかもしれません。

2.キッチン家電やストック食品、「使用頻度」が少なければ納戸でも〇

とはいえパントリーは必ずしも設置しないといけないものではありません。日常的に出し入れしない、使用頻度の少ないキッチン用品であれば、納戸に収納するのも一つです。

KURASUのお客さまにも、キッチンに収める荷物の量や大きさをヒアリングしながら、ご提案しています。「キッチンの片づけが苦手」というお客さまのお家では、キッチン裏に4畳という広めのパントリーを作ったことも。日々のストレスを軽減させる意味で、パントリーが力を発揮するケースもあります♩

 家事楽動線の王道! ファミリークローゼットの落とし穴

洗濯した服を一度で収納できるファミリークローゼットは、家事楽動線の王道です。脱衣所のそばに設置することで、干し終わった洗濯物をたたまずに収納でき、脱衣⇔洗濯⇔着替え⇔収納の一連の流れがシンプルになります。

ただこのファミクロ、どこからでもアクセスでき、その場でパッと着替えられる便利さがある一方で、家族同士のプライバシーが確保されにくいという欠点も。
しまう人だけでなく、使う人のことも考えておかないと、意外な不便さに直面してしまうのです。

せっかくファミクロを作っても、「着替えは自分の個室でしたい」となると想定していた動線が機能しない、なんてことにもなってしまいます。

ファミリークローゼットは「しまう人」だけでなく「使う人」も意識するのがポイント

1.家族構成やライフスタイルに合った動線を考える

脱衣室横ではなく寝室横にファミリークローゼットを設けるなど、家族構成やライフスタイルに合わせて最適な動線を考えましょう。

2.衣類収納を複数個所設ける

ファミクロ1カ所に全てまとめるのではなく、それぞれの部屋に小さな収納を用意しておく、ファミクロを脱衣室横と寝室横の2カ所に設ける、というのもアリです。その場合には、家族全員が共通認識を持てるように、収納ルールを決めておくのも大切です。

こちらのお宅では、各寝室にクローゼットを設けつつ、1階のリビングから水回りの間に、普段使い用のファミリークローゼットを配置しました。お子さまの成長に合わせて、ハンガーパイプの高さを変えられるようにしたことで、子育て中から、子育てを終えた後でもニーズに合わせて使いやすいファミクロにしています♩

収納の使い勝手は、「ちょこちょこ収納」が正解!

今回は、①土間収納、②パントリー、③ファミクロという3つの人気の収納をテーマにご紹介してきました。

すべて流行りの収納スタイルで、確かに家事が楽になる便利さがあります。でも自宅を設計し、実際に子どもと暮らしている設計士の視点から見ると、意外にも「まとめるのが正解」とは限らないと思っています。

大きな収納スペースを一部に設けるよりも、適材適所に「ちょこちょこ収納」があった方が、片付けしやすく、暮らしやすい家になります。
しまうもの・使う頻度・LDKからのアクセスによっても、必要な収納スペースはさまざま。場合によっては奥行きがない収納スペースの方が使いやすい、なんてこともあります。
間取りを考える時には、まずは持ち物の棚卸をしてみることをおすすめします♩


ディスプレイも兼ねたリビング収納。細々したものはケースの中に。

寝室に設けたオープンラック。趣味のものを飾ったり、ボックスを入れて整理棚にしたり。

4人暮らしの子育て世帯の収納計画(一例)を公開しますので、良ければ参考にしてみてください♩